管工事・水道施設工事会社の事業承継では、地域で積み上げた施工力を、次の経営体制でも維持できるかが検討課題になります。本記事は、AJキャピタルが公表したモチダへの事業承継投資を紹介し、譲渡を考える経営者が用意したい資料を整理します。
本記事は第三者の公表事例の解説です。当センターが支援・仲介した成約実績ではありません。個別案件の事実と、当センター編集部による一般的な考察を分けて記載します。
公表資料で確認できる事業承継の概要
| 公表日 | 2022年7月8日 |
|---|---|
| 承継日 | 2022年7月7日 |
| 対象会社 | 株式会社モチダ。鳥取県米子市を拠点に、管工事・水道施設工事等を営む会社 |
| 投資主体 | AJキャピタル株式会社が運営するサクセッション1号投資事業有限責任組合 |
| 公表された内容 | ファンドを通じてモチダの事業と経営を承継。従来の経営・営業体制を維持し、内部管理体制の構築などを支援する方針 |
| 確認できない事項 | 参照したリリースに取得価格や詳細な契約条件の記載はありません |
出典:日本アジア投資が掲載するモチダへの事業承継投資に関する公式リリース(PDF)。承継日と支援方針は、同PDFの2ページ目にあるAJキャピタルの発表に基づきます。公表された支援方針と、承継後に実現した成果は区別して読む必要があります。
一般考察:地域の施工体制を説明できる形にする
ここからは管工事・水道施設工事会社の譲渡準備に関する一般的な考察です。モチダの実際の調査内容や交渉経緯を示すものではありません。
地域で長く仕事を続けてきた会社でも、「地元に強い」という説明だけでは、次の経営者が何を引き継ぐべきか分かりません。発注者の種類、対応エリア、施工班の担当範囲、夜間・休日の連絡体制を分けて整理すると、会社の運営が具体的に伝わります。
特に代表者が見積、発注者との折衝、現場手配を兼ねている場合は、担当を引き継ぐ順序が課題になります。継続する業務と、管理方法を改善したい業務を一覧にし、誰が判断し、誰に連絡するのかを明確にしておきましょう。担当者を増やせば解決するのか、一定期間の同行が必要なのかを買い手と検討できます。
譲渡前にまとめたい資料チェック
- 許可・指定の一覧:工種、営業所、更新期限、関連する指定や登録をまとめ、変更時に確認する窓口を記録する。
- 人員と担当業務:資格、現場経験、積算・施工・緊急対応の担当、代替できる人を一覧にする。
- 受注構造:公共工事、民間工事、維持補修を分け、主要発注者への依存度と仕事が続く理由を説明する。
- 工事別の採算:請負額、材料費、外注費、追加変更、未請求分、入金予定を工事台帳に結び付ける。
- 引継ぎが残る案件:受注残、手直し、保証対応、協力会社との未精算事項を担当者と期限付きで管理する。
資料に不足がある場合は、分からない欄を推測で埋めず、確認先と担当者を決めます。例えば、受注残の金額は契約書と照合し、追加工事が口頭合意のままなら、現在の合意状況を別に記録します。見込みと確定事項を分けることが、後の説明の食い違いを減らします。
買い手との面談で確認したいこと
ファンドや同業会社など、買い手候補によって承継後に提供できる支援は異なります。人員補強、経理管理、営業開拓のうち何を支援するのか、現場の意思決定を誰が担うのかを具体的に確認しましょう。支援内容を担当者、開始時期、必要予算まで落とし込むと、提案を比較しやすくなります。
譲渡価格とともに、代表者の引継ぎ期間、従業員への説明、発注者・協力会社への挨拶、緊急連絡先の切替を協議します。書類上の承継と日常の施工体制の移行を結び付けて考えることが、管工事会社の事業承継を検討する出発点です。
自社の譲渡準備を進める方へ
工種別の確認事項は管工事・空調設備工事会社のM&Aガイドで確認できます。準備する資料や情報開示の順序を整理したい方は、建設会社の譲渡相談をご利用ください。

